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2023.04.03 315 views

Re:litho zine

初期衝動にかられ動きだした幻のZINE(未完成)導入ページ序文

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  1. COPYWRITER
  2. ヨコヤマ

 

今このZINEを手にしているあなたが、この瞬間より以前に「リトグラフ」という言葉を目にしたのは、美術館、あるいはギャラリーの壁に貼り付けられたキャプションの中だったのではないか。たとえば、こんな感じで。

 

想像が当たっているかどうかはさておき、こんにち、「リトグラフ」という言葉が人々の口の端に上ることができるのは、ほぼ、アート周辺での話題においてのみ、であろう。しかしながら私たちRe:lithoが、少なくない時間、石版リトグラフの傍にいて気づいたのは、この伝統的印刷技法が、もっと様々なコンテクストで語ることのできる、複層的な魅力を内包している、ということだった。

 

たとえば「DESIGN」という切り口。ほんの数十年前まで、リトグラフの技法は街のポスターや商品のパッケージなどに用いられており、多くの人々に情報を敷衍するためのDESIGNが、そこにはあった。ところが時代は移り、より効率的で安価なオフセット印刷技術が商業印刷の主流となると、必然的に、リトグラフが備えていたDESIGN的側面の一部は抜け落ちてしまった。新しいものが登場すれば、古いものの担う役割は縮小する。その流れに抗うことはできないが、ただ「より伝わる、より楽しんでもらう」というDESIGNの本質的な機能を、今この時代のリトグラフに、もう一度付加することは可能だと考える。

 

そして、たとえば「CRAFT」という文脈。 特に、私たちが着目する石版リトグラフにおいては、石版の選定・運搬から、表面の研磨、薬品を用いての製版、大型のプレス機を使った印刷作業まで、すべてが職人の手で行われる。渾身の力を込めて石版を持ち上げたかと思えば、指先に全神経を集中させて紙と対話をする。ひとつの原画をもとに全く同じ品質で大量に刷らねばならない、という印刷/版画の持つ特性上、生まれるプロダクトからは、うつわのような“ひとつひとつに個性が滲む”といった「手しごと感」は感じられにくい。が、その作業の実態は、職人の技術と経験と勘だけが頼りの、純然たるCRAFT WORKなのである。

 

さらに、たとえば「SCIENSE」というストーリー。 先に触れたようにリトグラフの製版作業には、多くの薬品類が使われる。ラズン、タルク、アラビアゴム、チンクタール…。まるで呪文のような響きを持つこれらの薬品は、石灰石を主とした石版の上に何重にも塗られ、拭き取られる。このポリフォニックな化学反応により、平らな表面は、インクを保持する親油性の部分と、インクの付かない親水性の部分にわかれる。そして石に描かれた「絵」は、何枚もの作品を創るための「版」となる。呪文のような薬品が生み出す、魔法のような石版。もちろん職人は、MAGICではなくSCIENSEの信奉者である。

 

DESIGN,CRAFT,SCIENCE, and more...

 

私たちは、伝えるに難しく、難しいゆえに魅力的なその個性を伝えるべく、リトグラフを見つめ直す。語り直す。

 

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WRITTEN BY peel運営チーム

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