WEEKLY (THINK)

peelの週報。
スタッフの日常×クリエイティブシンキング

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古い雑誌たち(その2)

前回のコラムでは、家にある古い雑誌「スーパーコミックマガジン SUPERMAN」創刊号(昭和53年〈1978年〉発刊)を紹介した。今回はその続きとして、「雑誌に掲載されていた広告」に注目してみたい。
 

 
まず目を引いたのが、裏表紙の「自動もちつき機」の広告だ。スーパーマンがソファらしきものに腰を下ろし、雑誌を読みながら素手で餅を食べているというユーモラスなビジュアル。その上には「機関車より力をつけるため」というキャッチコピー。さらに本文には「蒸す。つく。練る。1台3役のスーパーマン。さあ、うまいもちをたくさん食べてパワーアップ。男はいつも粘りづよく。」と続く。
 
標準価格は25,800円。当時の雑誌の想定読者層と、自動もちつき機の購買層をどう重ね合わせて出稿に至ったのか。広告主の意図が気になるところだ。
 
スーパーマンならもちつき機など不要な気もするが、「オフの日はあまり力を使いたくないんだよね」と言いそうな、意外とオン・オフを大事にするタイプなのかもしれない。
 
一方、その裏面(表3)には充電式シェーバーの広告が掲載されている。キャッチコピーは「充電式でも やはり『切れ味』」。こちらはマーケティング的に納得がいく。私自身、長年このメーカーのシェーバーを愛用しており、その堅牢さと信頼感がスーパーマンのイメージと重なるようにも感じる。価格は8,900円と記載されている。
 
ほかにも、アニメキャラクターのプラモデルやコンポーネントオーディオといった“わかる”広告が並ぶ一方で、トマトジュースや芳香剤(420円)の広告も見られる。トマトジュースには価格表記がなく、どちらかといえば「誰でも手に取れる」日用品として、ターゲットを広く設定していたのだろう。
 
気づけば、ページをめくりながら、広告の企画意図やターゲティングを考えている自分がいる。職業柄ついマーケティング的な視点で見てしまうが、この雑誌を手に取った中学生の自分には、そんな見方など想像もつかなかっただろう。
 
47年前の広告に映る「時代」と「意図」を眺めながら、どこか懐かしさと新鮮さが入り混じる感覚を覚えた。

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WRITTEN BY citrus002

入社○十年のアートディレクター。マックス・ビル、オトル・アイヒャー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン、エミール・ルーダー、アルミン・ホフマン、カール・ゲルストナー、リヒャルト・パウル・ローゼ、マックス・フーバーが私のアイドルです。

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