WEEKLY (THINK)

peelの週報。
スタッフの日常×クリエイティブシンキング

ILLUSTRATED BYAKIHATA

2024.03.04 52 views

正方形のチラシ

デザインを生業にしていると、商品を伝えたい(カッコよく)/目を引きたい(新しく)/でも予算はない(安く)という決まり文句のようなオーダーをよく受ける。

 

良いものを安く作りたいのはあらゆる業界の共通テーマかもしれないが、ビジュアルや価格だけにとらわれていると、あれ、何のために作ってるんだっけ?と脳内迷路の出口が見つからず作業の手が止まってしまうこともしばしば。。

 

そんな時にふと原点回帰させてくれるエピソードがある。

 

私の両親は女性向けブティックを営んでいた。海と山に囲まれた田舎にしては少し尖ったお店だったらしく、セールの季節になると新聞折り込みチラシを入れるのだが、母にはチラシにこだわりがあった。

 

形は20×20cm程の正方形。紙は、わら半紙のようなざらざらの質感で元々色が染まっている紙(ピンクや紫など)に、外国人女性モデルの写真とサマーセールなどのコピーが黒色でダイナミックに配置されている。

 

業界的に表すと
●片面スミ1色刷り「1/0c」
●紙は色付き更紙(変形)
●写真はリース

 

30年以上も前の話なので今となってはかなりチープなチラシに感じるが、子どもながらになんだこれ?と違和感を持ったことを覚えている。

 

正方形の理由を聞くと

 

「他と違うから目立って気付かれやすい。毎回この形にすればウチのお店だとすぐ分かる」

 

紙は白くてツルツルで写真はカラフルな方がオシャレではないか、と問うと

 

「見た目をキレイにすると費用が高くなる。紙とインクを安くして形にお金をかけている」

との返答が。

 

なるほど、、だからスーパーのチラシも黒色だったり変な色(赤と緑)の時があるのか。伝えたいのは食品の美味しさではなく安さ。まずはお店に足を運んでもらう目的と効果が大切なんだな。

 

と、小学生の私はすでに業界哲学を刷り込まれていたようだ。

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WRITTEN BY AKIHATA

大阪の南の方に住んでいるグラフィックデザイナーです。

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