2024.11.11 16 views
Xのポストアポカリプス
X、というかSNSがもたらした一番大きな利点は情報が並行に届くことだと思う。
好きな芸能人の写真、美味しそうなご飯、グッズの発売日、ドラマの放送時間、地震速報、鮮やかなイラスト、動物のかわいい映像。
Webサイトだけではこれらを一挙に摂取できることはなかった。
しかし今はできる。文字で、絵で、音声で、映像で、リアルタイムに。
その仕組は、私たちの心をときに満たし、ときに削り、ネットコミュニケーションのあり方を、良いほうにも悪いほうにも加速させた、革命のようなものだった。
『心地よい破滅もの』という表現がある。
イギリスの小説家兼評論家であるブライアン・オールディスが、当時流行していたSF小説の筋書きを揶揄った表現であり、なんとも皮肉たっぷりで私は好ましい。
その内容とは、破滅していく文明を安地から観測して新しい文明を築き、最終的には自分たちの文明観(主観)で滅びた原因などを解明していくというもので、まるで今のXのようだと私は感じた。
いまXが過渡期を迎えており、大勢のユーザーはノアの方舟よろしくBlueskyやMisskeyなどのサービスに移行している。
SNSに虹がかかることなんてないが、少なくとも別の居場所に腰を据える準備を整えている。私もそうだ。
著名人や企業のアカウントが新しい土地を開拓するのも時間の問題ではないだろうか。
誰かが足を踏み入れれば追うように人が増える。そしてそこに文明ができる。
ユーザーはそれぞれの落ち着ける場所でこれからゆっくりと人がいなくなっていくあのタイムラインのことを話すのだろう。わたしも、あなたも。
彼岸から、心地よく破滅についてつぶやこう。
WRITTEN BY たていし
コーダー兼デザイナー。まだまだ勉強中です。販売終了した期間限定商品のことをふと思い出しては、もう一度食べたいとしょんぼりしています。