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『破壊光線』は『はかいこうせん』よりも強い?
先日、非常に興味深い記事を読んだ。
“ブランコはフランコよりもぶつけられやすい?”
昭和女子大学人間社会学部 准教授の榊原良太さんが発表した研究のタイトルである。
すごく簡単にまとめると、「名前に濁音の入っている選手は死球(デッドボール)がぶつけられやすいのではないか」という内容である。
記事内にも説明があるが、音声学における『音象徴』には非常に好奇心をそそられる。音そのものがある特定のイメージを連想させるという事象で、例えば“パリパリ”は薄いものが割れる印象だが、“バリバリ”は分厚く固いものが……といった具合だ。
幼少期に遊んでいたポケモンに出てくる技で『はかいこうせん』というものがある。
これは書いて字のごとく破壊する光線を撃つ技だ。とても強そうに感じる。
だがどうだろう。ひらがなだとなんというか、可愛い。
“破壊”も“光線”も漢字だとかなり攻撃的な印象だが、ひらがなにした途端やわらかく・まるくなる。不思議だ。
もちろん漢字との密度の違いや、元々は女性が使っていた文字で、その後も私的な文書に用いられてきたという背景はあるのだろうが、この絶妙な感覚は日本語だけではないだろうか。
英語には打ち文字の全てを大文字にすることで強調を図る『ALL CAPS』があったり、中国語も簡体字・繁体字それぞれで印象が変わるらしいので、文字の見え方によるニュアンスの違いは外国語にもあるのだろう。
だが、
「ありがとう」
「有難う」
「アリガトウ」
この3つそれぞれで印象が変わる言語を扱う日本人だからこそ、「ブランコはフランコよりもぶつけられやすいかもしれない!」と思いついたのかもしれない。
<元記事>
名前に「濁音」がある打者は「デッドボール受けやすい」?…まさかの研究結果に学者「自分が一番驚いた」
https://www.yomiuri.co.jp/sports/yakyu/20250817-OYT1T50046/
<関連記事>
ポケモンの名付けにおける母音と有声阻害音の効果 ―実験と理論からのアプローチ― 熊谷学而/川原繁人
明海大学 慶應義塾大学言語文化研究所
https://user.keio.ac.jp/~kawahara/pdf/155_kumagai.pdf

WRITTEN BY たていし
コーダー兼デザイナー。まだまだ勉強中です。販売終了した期間限定商品のことをふと思い出しては、もう一度食べたいとしょんぼりしています。