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ニューサントリー5
ふと、JAZZが聴きたくなって音楽の聴けるレストランをググった。
そこは、お初天神通りのとある雑居ビルの中。商店街の喧騒を横目に薄暗い通路を抜け5階に上がると、目の前にレトロなガラス窓が一面に広がった。
とても、一見さんが入れる雰囲気ではない。でも、でも、とてつもなくワクワクする。。
意を決し入ると、中は大きな船内を彷彿させる、上品かつレトロな内装デザイン。10mほど先まで続く長いバーカウンターには、彩り豊かなお酒が並び、窓越しに梅田の街が見えた。
下の喧騒とはあまりに別世界…
カウンターの横手にはグランドピアノや大きなウッドベース、ドラムが佇む。船内の白壁には、サッチモや往年のJAZZ Manの写真が飾られ、歴史のオリを感じる。
そう、ここニューサントリー5は、関西発の本場JAZZが聴けるライブパブとして53年の歴史を誇る、知る人ぞ知る名店なのだ。
私はここに、ニューオリンズ・ラスカルズを聴きにきた。
1966年ニューオリンズ市名誉市民賞を受賞した本場でも知られるジャズバンド。現地でも、忘れ去られた名曲を復活させて演奏する希少なバンドだ。
牛肉汁したたる、名物カツサンドをつまみに。
さあ。LIVEが始まる。
トランペット、トロンボーン、クラリネット、バンジョー、ウッドベース、ピアノ、ドラムスがニューオリンズの陽気で華やかなリズムを刻む。
それはまるで、音の粒たちが踊りながら空間を満たし、皮膚の隙間を抜けて、からだ全てを揺さぶるような、容赦ない快楽の波だ。
私はただ、音の波に漂い、至極のときを享受する。
JAZZ Manたちは、とても楽しそうに笑っている。音に包まれた観客たちもからだ全てで笑っている。本能が叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。
二度と出逢うことのない、音の粒たちは空間を燃やし、身体を満たし、やがて何食わぬ顔で去っていった。
そんなあるJAZZの夜。
WRITTEN BY tuetue
アートディレクター