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“嘘くさい”って、なんだ?
AIで作られたのかな、と思う画像に触れる機会が増えてきた。
かなりの工程を経ないと作れなかった仮想空間も、今では驚くほどリアルだ。webバナーなどレイアウトまで整っていて、進化は目をみはる勢い。それでもタイムラインを見ながら、「嘘くさいなー」と心の中でつぶやくことがある。
ん? くさい?
実際に匂いがあるわけではないのに、私たちは嘘・田舎・素人・鈍を嗅ぎ取る。サッカーでは「得点の嗅覚」と言い、刑事ドラマでは「何か匂うな」と部屋を見渡す。気配や予感、勘のようなものを察知するとき、人はなぜか嗅覚の言葉を使う。
考えて導き出したというより、先に感じてしまった何か。その感覚に近いからかもしれない。
調べてみると、嗅覚は少し特殊のようだ。
視覚や聴覚が脳の視床という中継地点を通るのに対し、嗅覚は記憶や感情に近い脳の部位へダイレクトに届くそうだ。腐敗臭がしたときに「なんの匂いか」を考える前に「NG!」と反応するのも、その仕組みのせいらしい。
一方で、匂いそのものを表現する言葉は少ない。「花のような」「雨上がりみたいな」と、別の何かを借りて説明することが多い。つまり私たちは、共通の経験を呼び起こしながら、匂いを共有している。
思い当たることがある。
私の働くクリエイティブの現場でラフを検討するとき、「あのPVの世界観よりちょっとキレイめに」とか、「このイベントの空気感で」といった会話をする。まだ言語化しきれていない何かを、共通の経験を呼び起こしながら共有している。
「嘘くさい」と同じ仕組みで、「なんかいい」を伝えようとしているのだ。
そしてうまく説明できていなくても、私やチームの仲間はこういう会話を大事にする。
実はそこに仕事のキモがある気がしている。
(言葉になる前のはなし②につづく)
WRITTEN BY ubiik
プランニングやディレクションをしています。時短勤務中。福岡、淡路島が好きです。