2023.05.12 263 views
カラフル知覚過敏
「4組だ、やった!」クラス分けされた新一年生の私は小躍りした。
理由は4組の名札がピンク色だったから。
別にピンクが好きだったんじゃない。4=ピンクだったから。
みんなはそうじゃないみたい、共感覚っていうんだって知ったのは大人になってから。
私には文字が色付きで見える。1は白、2は黒、3は山吹色、4はピンク、5は濃い赤、6はうぐいす色。物心ついたときからそう見えていたから、小学校が勝手に設定した色が入学前から気に入らなかった。ただひと組だけ小学校と私で合致する色分けがあった。それが4組。
これを共感覚と呼べるかどうかはさておき、私はひらがなもカタカナも漢字も数字もアルファベットも、認識できる全ての文字に色を感じる。
その配色は、単純なイメージだったり由来が思い当たるものもあるけど、多くはなんでだよっていうもの。例えば「水」は素直に水色だけど「木」は紺色だし、「火」は火関係の漢字とつるむと朱色だけど「火曜日」だとたちまち青になる。
子供の頃から記憶力にはちょっと自信があったんだけど、それも言葉を音と字面、プラス「色」で記憶していたからだと思う。人の名前を音で思い出せなかったとしても「あー緑っぽい名前だった」と色から名前の一文字をたぐりよせられる。でもこれには難点もあって、音や字面が似てなくても同系色の名前は混同しやすい。「色が似てたからつい間違えた」って言い訳も怪訝な顔でスルーされる。
いま私はデザイナーとして働いているけども、このいかにもな感覚は大して役立っていないどころか時々うっとおしい。「あ」は絶対赤なのに違う色で塗る違和感は毎日頭をもたげるし、この超主観的な決まりごとが無意識にデザインの幅を狭めていることもある。
なんだかんだ気に入ってはいるけど、仕事中はオフできたらいいのに。
WRITTEN BY Farubi
デザイナーです。イラストを描くことと地方のスーパーが好きです。