2024.10.21 74 views
センチメンタルなジャーニー
命を食べるおじいちゃん
という本を娘が図書室で借りてきた。
物騒だな、と手に取ると副題に「平成うわさの怪談」とあった。
ふうん怪談集か。
ブワッと記憶がよみがえった。
小学生のころ、図書室にあった落語や民話、とんち話を集めた本に夢中になって、図書室隅っこの最下段に追いやられたコーナーでまだ読んでない本を這いつくばって探していた。
そのころにとても好きだったおはなし。
道ばたで2匹の蛇がじりじりとにらみ合っている。
次の瞬間、お互いの尻尾に噛みつき輪っかになった2匹。
どちらも尻尾から頭に向かってぐんぐん呑み込み輪っかもどんどん小さくなる。
そうして同時に最後のひと呑み、その場には消えて何も無くなった。
こんな感じだったと思う。
私はこのお話にいたく感動し小さな膝を打ち、興奮しながら母に報告した。夕飯を作っていた母は片手間に「へーそりゃすごいや」とかなんとか言っていた。
まだ小さかった私でもそんなことあるわけないことはわかっていたし、実際は血なまぐさいことになるんだろうなとも思っていた。でもそんなこと言うやつぁ野暮だと小学生にも思わせる粋なとんちがそこにはあって、それを面白がることが楽しくてしかたなかった。
芋づる式にもうひとつ思い出す。
もっと小さい頃、ポンキッキでやっこだこが何体(体?)いるか数えるという短いコーナーがあった。テレビの中の5体のやっこだこは数秒ごとにフォーメーションを変えて、そのたびに何体いるか問いかけてくる。フォーメーションが変わるだけだから当然ずっと5体なのだけど、私は必死でテレビに張りついて数え、お?斜めに並べば6体になるんじゃないかな、と思ったりしていた。
何年もこんなこと忘れていたなあ。
このごろの娘のいろいろは私の記憶の扉を次々ひらくものだから、ついつい炊事の手を止めて思い出の旅に出かけてしまう。
そうしてそれは日常に追われてゴリゴリに凝り固まった私の頭をほぐしてくれる。
ときどき封鎖して鍵も捨てたはずの扉がふいに開いて悶絶したりもするけども。
『命を食べるおじいちゃん』はどんなおはなしかな。
彼女が興奮して話しかけてきたら「へぇ!そりゃすごいや!」と言ってあげたい。
WRITTEN BY Farubi
デザイナーです。イラストを描くことと地方のスーパーが好きです。