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『チ。』からはじまる公転メタファー
魚豊さんの漫画『チ。―地球の運動について―』。
作品に触れたのはアニメからだった。オープニングテーマのサカナクション「怪獣」にも心惹かれ、衝動をめぐる本を読み、舞台版を観て、コラボドリンクを飲んだ。気づけば私は、物語そのものではなく、その周辺を巡りながらコンテンツ消費の軌道へと引き込まれていたのだった。
中心となる物語が完結しても、「ロス」に寂しくならず、世界観という余韻に心地よく浸っていられるこの仕組み。ファン体験の滞在時間を設計する販売戦略だと頭ではわかっていても、気持ちよく軌道に乗ってしまう感覚を味わった。これらの音楽・グッズ・コラボ飲食・SNSレビューなどは、熱源である太陽(作品)の周辺を巡っており、まさに公転に思える。
また、『チ。』は、主人公がリレー形式で変わっていくが、血のつながりや師弟関係で継承していくわけではない。地動説という考え方を中心に、人々が巻き込まれて連なっていく。これもまるで公転のよう。
いよいよ、この構造が最近の仕事の感覚とも重なって見えてくる。
自社を中心にステークホルダーを配置するのではなく、パーパスの周囲を自分たちもまた一緒に回っている。このような公転思考の方が感覚的にしっくりくる。一方向でも双方向でもなく多層的に人々が関わることで、輪郭を成していく構造。
公転はブランディングのメタファーにもなれるのでは!?といつもの思考暴走がはじまった。ブランディングの自走には引力が重要なんじゃないだろうか。いいかも。売上ではなく引力を指標に考える公転思考ブランディング。
メタファーを見つけただけで何か理解の入り口に立ったような気になった。
最後に。
世界はまだ解明されておらず、だからこそ気づきや表現の余地がある――それを「好都合」と呼んでしまうサカナクションの態度が本当にいい。この感覚を胸に抱えつつ。まだデータ化されていない未完成に挑もう。打倒、生成AI。
WRITTEN BY ubiik
プランニングやディレクションをしています。時短勤務中。福岡、淡路島が好きです。