0 views
五感で味わうデジタルデトックス ~小さな挑戦の巻~
久しぶりに、ふきのとうを食べた。
小学生の息子が田舎体験に出かけ、袋いっぱいに持ち帰ってきたのだ。大人になると、なぜかくせになるあの苦味。季節の縁起物として私は好きだけど、子どもにはまだ早いかなと、八百屋で見かけても春を告げるオブジェとして眺めるのみになっていた。
とはいえ、宝探しのように夢中になってしまうのが、山菜採りの醍醐味。好き嫌いに関わらず気づけば山盛りになる中毒性はよくわかる。
「食べてみたい!」と猛プッシュの息子。菜の花すらNGなのに大丈夫かな…と心配しつつも、久々に“旬のパワー”を味わえるとあって、普段は揚げ物をしない私も天ぷら粉を買いに行った。
そもそもこの田舎体験は、スマホやゲームに浸りきりの息子の生活が気がかりになり、日常的に自然に触れられる場はないかと探したのがきっかけだった。
そこで見つけたのが、奈良の里山で野外活動に取り組むオルタナティブスクールだ。自宅から電車と車で1~2時間ほど、古民家を拠点に田畑や池が広がっている。まさに理想的な“プチDA◯H村”。
そこでは地元のおじいさんやおばあさんに農作業を教わったり、子どもたちと虫採りやおにごっこをしたりと、幅広い年齢層との交流も魅力のひとつ。
最初は「退屈しないかな」と心配していたけれど、本人はこの“非デジタル”な時間を気に入っており、隔週の土曜日を楽しみにしている。
親としてありがたいのは、食に対する好奇心を刺激してもらえること。
椎茸の菌打ちや、ジビエ肉を使ったスープの支度、小枝を焚き火にくべて作る焼き芋。どれも家ではハードルが高い貴重な食育の場だ。
そのおかげか、何より嫌いだった椎茸を克服できた。自分で育てた実感と採れたての味が特別に感じるらしい。だからこそか、スーパーの椎茸はまだまだ苦手。
あれだけ楽しみにしていたふきのとうの天ぷらは、案の定ひと口でギブアップした。
でもそれで良いと思っている。我が家では「苦手なものは無理に食べなくてOK。その代わり旬の時期に一度だけ挑戦する」という小さなルールを設けている。そういう意味でも、ここでの活動は絶好の機会になっている。
さて、今回のお土産は、野性味のある八朔。市販のものとは違い、小ぶりで皮は硬く、驚くほど酸っぱい。
里山から届く土の匂いや季節の味は、日々四角い画面の光を浴びている私にとっても、自宅にいながら太陽を感じられる、プチ贅沢なデトックスになっている。
WRITTEN BY AKIHATA
大阪の南の方に住んでいるグラフィックデザイナーです。